君と金平糖

「ねえ、ちょっと手を出してみて?」

ニコニコと笑いながら綾時が言う。なんだ急に、と思いながらも、彼に催促され渋々手を差し出す。
綾時は手に持っていた小袋から何かを取り出す。手のひらに載せられた淡い空色の塊たちは、

「……金平糖?」

ほのかに甘い香りがする、小さな星の欠片たちだった。

「さっき女の子たちから貰ったんだ。だから、君にもおすそ分けしようと思って」

綾時が犬なら今頃尻尾をぶんぶん振り回しているんだろうな、とぼんやり思う。それくらい、今の彼は嬉しそうに話をしている。

「いいから、食べてみてよ」

早く早く、と急かす彼に押されつつ、星のひとつを口に運ぶ。どうせ砂糖の塊だ、甘いだけだろうと高を括っていたが、予想以上に甘さ以外の味が主張をしている。炭酸こそないが、この弾けるような爽やかさは、もしかして。

「サイダー?」
「当たり! 金平糖って、お砂糖の甘さだけじゃないんだね」

僕ちょっと驚いちゃった。見えない尻尾を振り回しながら、綾時は目を輝かせる。
彼も小袋から星の欠片をつまみ上げては、眩しいものを見るように、愛おしそうに眺めてから口に放る。
口の中で、飴玉のようにしばらくコロコロと転がしてみたり、かと思えば一気に噛み砕いてみたり。

「まとめて食べるのは少しもったいないね」

そんなことを言いながら一粒ずつ大事そうに味わう綾時は、きっと小さな幸せも大きく感じることができるのだろう。

「君にも、もっと分けてあげる」

星に願いを。甘い甘い小さな欠片に、幸せを込めて。
綾時から分けられた、星の形をした幸せの欠片を口に含む。爽やかさの中に、程よく甘い優しさが見え隠れする、そんな味がした。